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輸入住宅の災害への強さについてまとめました。
輸入住宅で多く採用されている工法は、2×4(ツーバイフォー)工法や2×6(ツーバイシックス)工法、または北欧で主流のパネル工法。いずれも床や壁や屋根が面構造になっています。そのため地震の揺れを建物全体で受け止めることが可能。力を分散させることができ、地震の揺れが一ヶ所に集中しないので倒壊や損傷の可能性が低いと言われています。さらに構造材の使用量を増やしたり、構造用合板を厚くしたりなどして、強い耐震性を実現。
多くの輸入住宅では、床や天井、壁の面で建物全体を支える構造。面で支える構造は、台風などの横からの力にも強いのも特徴です。特に台風より強烈なハリケーンが襲う北米で生まれた2×4住宅は、強風に備える独自のアイディアを採用。その中のひとつ「ハリケーンタイ」と呼ばれるあおり金具は屋根のたる木と構造壁を連結し、強風にあおられても屋根が吹き飛ばされる被害を最小限に抑えます。
輸入住宅は一般的に耐火性能が高いと言われています。欧米では石造りやレンガ造りの家が多く、石やレンガは木材のように燃えるリスクがありません。仮に家の中で出火しても建物自体は無事で済むことも。また木材を使用した家の場合でも、輸入住宅は日本の木造家屋と比較すると壁や天井にかなり分厚い木材を使用しています。厚みのある木材は鉄骨よりも燃えにくい特徴があります。また熱による劣化もしにくいため、ちょっとした出火の場合だと表面がこげることがあっても全焼してしまうことは少ないでしょう。建物の骨格は生き残る可能性が高いです。
輸入住宅は防犯性に優れています。治安が良い日本と比べ、欧米では強盗や空き巣などの犯罪は日常茶飯事。防犯性能を重視した建物が多いのです。特徴のひとつは窓の堅牢性。強化ガラスを使用している上に2枚か3枚のガラスを組み合わせていて、破損させることは非常に難しいでしょう。また輸入住宅に多い上げ下げ窓や滑り出し窓は、人間が出入りできるようには作られていません。
更に重厚なデザインの重い玄関ドアは、外したり壊したりすることは極めて困難です。二重ロックやチェーンロックは当たり前。高い防犯性を持っています。
空き巣の侵入口として多いとされているのが「窓」。鍵のかけ忘れを除外しても、窓のガラスを割って侵入するという手口が多いとのことですから、窓ガラスの防犯対策は一番先に考えておきたいところです。窓ガラスの防犯対策として真っ先に思いつくのは、「防犯ガラス」。2枚のガラスの間に「ポリカーボネート板」と呼ばれる強度の高い特殊な板が挟み込まれているガラスのことで、このためバールで打ち叩くなど強い衝撃を受けても簡単に割れることはありません。ただし防犯ガラスは1枚あたり5万円ほどかかるため、全ての窓を防犯ガラスにすると予算オーバーになることも。その場合、例えば防犯ガラスは侵入経路となりやすい掃き出し窓だけにして他の窓には格子を付けるとか、あるいは通常の窓ガラスに「防犯フィルム」を貼って防犯性を高めるという方法もお勧めです。ただし防犯フィルムの耐用年数は10~15年ほどですので、定期的な張替えが必要となります。
また住宅の設計段階で防犯対策を考えるなら、輸入住宅に多い「シングルハング」という窓を選択するのも1つの手です。シングルハングとは上下に上げ下げする「上げ下げ窓」のうち上側の窓は固定されていて下側の窓だけ動かすことのできるタイプの窓のことで、これは縦に長く横幅が狭いため浸入しにくいことに加え、他の窓と比べると開けること自体が難しいため、空き巣犯が敬遠しがちな窓となっています。
窓のカギであるクレセント錠周りに防犯対策を施しておくことも効果的です。というのも空き巣犯の多くは、窓ガラスの中でもクレセント近くの部分を小さく割って手だけを入れてクレセントを開錠し、窓を開けて侵入するという手口を取るからです。それでクレセント錠自体を開錠しにくいものにしておけば、例えガラスを破られても浸入を防げるというわけです。その方法としては、例えば暗証番号ダイヤル付きのクレセントにしておけば手で回しただけでは開錠できませんし、クレセント錠1つだけでなく補助錠も取り付けておけばその分開錠に時間がかかってしまうため、やはり浸入をあきらめる可能性が高くなります。
窓に次いで空き巣の侵入経路として多いのは、玄関。その殆どは玄関のカギを破って入るという手口ですから、玄関の鍵を防犯性の高いものにしておくというのはやはり基本中の基本です。防犯性の高い鍵の代表的なものは、「ディンプルシリンダーキー」。これは鍵穴が縦型になっていて鍵の側面には丸い窪みが幾つも付いているもので、この窪みの形状とシリンダー内のピンがピッタリとかみ合わなければ開錠することができません。通常のカギより開錠しにくいうえ数億通りものパターンが存在し、しかも鍵を複製するには特殊な機械が必要となることから、ピッキング対策に非常に効果が高いとされているのです。
ディンプルキーは価格も5000~1万円程度なので防犯の効果性を考えればかなりお得なアイテムなのですが、既存のカギがディンプルキーへの交換に対応できない場合もあります。そのような場合には、窓と同様補助錠を付けるのもお勧め。補助錠は力を入れにくいドアの上部に取り付けるとより効果的ですし、外から見ただけで鍵が2つ以上付いていることが分かるようにしておけば浸入に時間がかかりそうだと思わせることができるため、「狙われにくい家」になるでしょう。また暗証番号を使ったタイプのカギは物理的な力を加えただけでは開錠できないため、これもピッキング対策になります。暗証番号を知られてしまうと鍵の意味がなくなってしまいますが、二重暗証番号やダミー暗証番号、ワンタイム暗証番号機能を搭載した高機能なものもありますから、とにかく玄関周りは厳重にしておきたい!という人は導入を検討してみても良いかもしれません。
そもそも空き巣が狙いやすい家とは、人目に付きにくく隠れる場所の多い、外からの見通しが悪い家。それで庭木を植える場合にはこまめに手入れを行い、できれば玄関や掃き出し窓が死角になってしまわないよう植える位置にも注意して、隠れることのできる「陰」を作らないように工夫しましょう。また防犯を考えて高いブロック塀を積んでしまうのは逆効果。中が完全に目隠しされてしまうため、空き巣にとって「仕事がしやすい家」になってしまいます。塀を建てる場合には中の様子が見える格子、それも足が掛けにくい縦格子のものを選ぶのがお勧めです。ダメ押しに格子の内側にトゲのある低木を植えておけば、防犯効果が更にアップ。斑入りヒイラギのような洋風の雰囲気を持つ低木なら、輸入住宅のエクステリアとしてもピッタリです。
玄関前や敷地内の侵入口となりそうな場所にカメラを目立つように設置すると、防犯意識の高さをアピールすることができ空き巣犯への威嚇になります。またどうしても外からは死角になってしまう場所には、人体検知センサーの付いているセンサーライトを設置することで隠れる場所を与えないようにします。センサーライトの中には録画付きのものや侵入者を検知するとライトを点滅させるフラッシュ機能、警報を鳴らす警報機能付きのものもあるため、防犯カメラと併用すればかなり高い防犯効果が期待できます。
(2020年3月時点の調査内容です。)
※各社の設計方法について、このサイト内では下記定義づけしています。
・完全自由設計とは、既存プランや既存パーツを組み合わせるのではなく、施工主の要望に合わせて間取りや素材を要望通りに設計・施工してくれる住宅。
・セミオーダーとは、ある程度決められたパターンの中から、好きなものを組み合わせて設計・施工をしてくれる住宅。
・自由設計とは、設備の仕様は建築会社指定になりますが、間取りを希望通りに決めることができる住宅。